カトリックの葬儀はどんなもの?キリスト教の葬儀の流れと作法の紹介

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カトリックの葬儀はどんなもの?キリスト教の葬儀の流れと作法の紹介

仏教の葬儀に出ることが多い人の場合、キリスト教の葬儀に臨席するとなると戸惑うことも多いのではないでしょうか。
ここでは、キリスト教、そのなかでも特に「カトリック」について説明していきます。

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この記事の目次

  1. キリスト教式の葬儀と考え方
  2. キリスト教式の葬儀の流れ
  3. カトリックの葬儀における立ち振る舞い
  4. 参列の際に持っていく「御花料」について
  5. カトリックの葬儀での参列に関するマナー
  6. カトリックの法要「ミサ」について
  7. まとめ
  8. 監修者コメント

キリスト教式の葬儀と考え方

キリスト教は、「カトリック」と「プロテスタント」に大きく分けられます。この2つの死生観や葬儀の違いについてみていきましょう。

カトリックの場合

カトリックは、「カソリック」「カトリカ」とも呼ばれます。英語読みをするかラテン語読みをするかの違いです。

カトリックの場合、「死とは人に与えられた罪である」と考えられています。ただ、「罪であるから、全員が罰せられるのだ」と考えるわけではありません。

生前の罪を詫び、キリストを信じ、そして永遠の命を受けることを葬儀の目的とするのです。このため、プロテスタントと比べて、臨終のその瞬間を大事にします。

臨終の際に己の罪を告白し、悔い改めるのです。清められた油を体に塗り、(「終油の秘跡(しゅうゆのひせき)、あるいは塗油の秘跡(とゆのひせき)」)、亡くなった後には故人を思い、祈りを捧げます。

カトリックの葬儀の場合、宗教者は「神父」と呼ばれます。儀式のなかで歌は「聖歌」といい、プロテスタントのそれとは区別されます。

葬儀の場においては、聖書朗読、新婦による説法、そしてキリストの肉であり血であるパンとワインを捧げるミサを行います。

プロテスタントの場合

プロテスタントでは、「人は生まれながらにして罪人ではあるが、生きているときにキリストを信仰していて認められた人だけが天国に行ける」と考えられます。死んだ後のその身は神に委ねられるとしています。

なお、カトリックには天国や地獄といった考え方がありますが、プロテスタントでは原則としてこの考えをとりません。プロテスタントでは、「亡くなった人間は神のもとで永遠の安息を得る」としています。

このため、「亡くなった後の人が、生きている人に対してなんらかの働きかけをすることはない」としています。儀式的な要素を重要視せず、形式にはあまりこだわりません。

プロテスタントの葬儀の場合、カトリックとは違い、宗教者は「牧師」と呼ばれます。歌については「讃美歌」とされます。

このように、カトリックトプロテスタントでは、同じキリスト教といっても、死生観がまったく異なるのです。

キリスト教式の葬儀の流れ

死生観が違うわけですから、当然葬儀の流れも異なります。それぞれみていきましょう。

カトリックの場合

  1. 終油の秘跡
    カトリックでは、臨終の時を大切にします。このため、危篤に陥った時点で、神父に連絡をして来てもらうことになります。これはほかの宗教との大きな違いです。
    カトリックの場合、今わの時には罪の告白と許しを乞います。そして、この世との別れが安らかなものであるようにと祈り、油を塗ります。これは「終油の秘跡」あるいは「塗油の秘跡」と呼ばれるものです。
  2. 聖体拝領~お祈り
    キリスト教では、ワインをキリストの血、パンをキリストの肉と位置付けています。昔から数多くの芸術家が描き出している「最後の晩餐(ばんさん)」を元としています。
    これを捧げる儀式を行い、神父によって祈りが唱えられます。
  3. 納棺
    カトリックの場合、終油の秘跡や聖体拝領、お祈りを経てからの納棺となります。納棺には厳密な定めがあるわけではありませんが、白い布で故人を覆い、花で棺を埋めるというやり方がよく撮られます。
  4. 通夜
    この後で通夜が行われます。通夜に関しては、仏教と同じく、親しい人と飲食を共にして故人のことを語り合います。ただ、お酒は出ません。
  5. 葬式・告別式
    通夜の翌日に葬式・告別式が行われます。
    葬式・告別式の流れは、
    ・入堂聖歌(神父が入堂する際に流される聖歌)
    ・聖水と祈り
    ・棺とご遺族の入場
    ・開式の辞
    ・着席
    ・葬儀のミサ
    となっています。

    告別式は、
    ・入堂聖歌
    ・聖歌の斉唱
    ・弔電などの紹介
    ・献花
    ・遺族によるあいさつ
    という流れをとります。
  6. 出棺~挨拶
    神父の祈りを受けて、棺に花を入れます。棺は原則として遺族が運び出します。また、最後に遺族からのあいさつが行われます。
  7. 火葬
    神父の祈りのもと、参列者も祈りをささげて火葬をします。仏教では華やかな色の布で骨壺を包むこともありますが、キリスト教では黒い布で包むことになります。
  8. 埋葬
    家に遺骨を持ち帰り、祀ります。納骨のタイミングは厳密には定められていませんが、1か月後の追悼ミサのときに納める人が多いとされています。

プロテスタントの場合

  1. 聖餐式と末期の水
    カトリックでは「終油の秘跡」を行いますが、プロテスタントの場合は「聖餐式(せいさんしき)」が行われます。
    これも臨終の時に行われるものであり、まだ意識のある信者にパンとワインを与えます。その後に、牧師と家族が一緒に祈りを捧げます。
    仏教でもとられる「末期の水(まつごのみず。亡くなった人に水を含ませる儀式)」を、プロテスタントでも行います。
  2. 納棺
    亡くなった方を棺にお入れします。原則として、残された家族の手で故人を棺に移します。牧師の祈りのなかで行われ、ご遺体には白い布がかけられます。周りを花で埋め尽くすのは、カトリックと同じです。
    棺は黒色(白色のこともあります)の布で覆い、ろうそくや十字架、遺影などが枕元の机に置かれます。また、プロテスタントの場合はカトリックとは異なり、納棺の儀式においては「讃美歌の斉唱」「聖書朗読」「牧師による納棺の辞」「その後で賛美歌を歌う」「祈り」といった工程を取るようになっています。
  3. 通夜(前夜式)
    通夜を行います。
    厳密な決まりがあるわけではありませんが、賛美歌の斉唱や聖書の朗読、祈り、牧師による説法などが行われます。また、献花もこのタイミングで行われます。
    なお、葬儀を教会で行う場合は、自宅から棺を移す際に牧師が立ち会います。
  4. 葬式・告別式
    葬式・告別式の流れは以下のようなものです。
    ・一同着席。ただし、棺や喪主、遺族が入ってくる時は立って出迎える
    ・聖書の朗読とお祈り、賛美歌斉唱
    ・牧師の説教
    ・弔電などの紹介
    ・お祈り、オルガンの演奏
    ・告別のためのお祈りと賛美歌斉唱
    ・献花
    ・喪主あいさつ(献花の前に行われることもあります)
  5. 出棺
    遺族が棺のなかに花を入れ、遺族が棺を霊柩車に運びこみます。また、喪主によるあいさつが行われます。
  6. 火葬
    火葬の前に、「火葬前式」を行います。牧師によるお祈りと聖書の朗読が行われ、賛美歌の斉唱が行われます。
  7. 埋葬まで
    埋葬までは、手元でご遺骨を保管します。また、「偲ぶ会」が行われることもあります。

キリスト教における「通夜」と埋葬の考え方

実は、キリスト教では「通夜は行わない」という考えが原則としてある、とされています。ただ現在では、日本の風習になじむようなかたちで、実質上の「通夜」が行われるケースもあります。

カトリックではこれを「通夜の祈り」、プロテスタントでは「前夜式」としています。このあたりはご遺族や故人の考え方によるところが大きいので、一度相談してみるとよいでしょう。
なお、通夜を行う場合でも、お酒は出ません。お茶などを飲みつつ、故人のことを偲ぶかたちをとります。

また、キリスト教の場合は、「肉体が復活する」と考えることから、基本的には土葬の考えをとっています。
ただ、日本の場合、土葬にするためには非常に数多くのハードルがあります。

土葬自体が禁じられているわけではありませんが、「土葬が禁止されている区域の場合はできない」「市町村の許可がいる」など決まりがあるからです。このようなことから、特に大きなこだわりがない限りは、火葬後の埋葬にする方が現実的でしょう。

カトリックの葬儀における立ち振る舞い

カトリックの葬儀における立ち振る舞いを紹介していきます。

葬儀場での受付の方法

カトリックの葬儀においても、特段特別なことをするケースはあまり見られません。ただ、まれにではありますが、キリスト教のお式の場合は聖歌・讃美歌の歌詞が書かれた歌詞カードが配られることもあります。

献花の流れと作法

カトリックの葬儀では、「献花」が行われます。仏教における「焼香」であり、故人に花をささげる儀式をいいます。
その手順は、以下の通りです。

  1. 花を両手で受け取る
  2. 遺族に向かって一礼し、献花台の前に進む
  3. 茎側を祭壇に向けて供える。左手を茎に添え、右手を花の方に添える
  4. 一礼した後に黙祷(もくとう)する
  5. 顔を上げ、前を向いたまま2~3歩下がる
  6. 遺族に一礼し、席に戻る

聖歌・賛美歌への参加

聖歌や讃美歌は、歌えるのであれば歌うとよいでしょう。葬儀会社を介して行われるカトリックの葬儀の場合、結婚式と同じように、歌詞を書いた台紙が配られることが大半です。もちろん、歌うことが難しい場合は参加しなくても構いません。

お悔みの言葉は必要ない

キリスト教の場合、プロテスタントにしろカトリックにしろ、人が亡くなることを「悲しみ」「不幸なこと」とはとらえません。そのため、仏教のようなお悔みの言葉は述べません。

「御冥福をお祈りします」などの言い回しは、キリスト教では使わないので注意したいものです。
「安らかな旅立ちをお祈りします」「安らかな眠りでありますように」などの言葉が適切です。

参列の際に持っていく「御花料」について

「不祝儀」は、どの宗教の葬儀であっても迷うところです。キリスト教でのお式では、「御花料」という言葉が広く使われるのですが、これについて詳しくみていきましょう。なお、「香典」という言い方もよくとられますが、これは厳密には仏教の呼び方ですので、ここでは「不祝儀(袋)」という言い方をとります。

お金を包む袋の選び方

不祝儀袋は、無地のものを使ったり、十字架や百合が描かれたものを利用したりします。蓮の花は仏教の不祝儀袋ですから用いません。

「水引がついているものを選んでしまったのだが、これはだめだっただろうか?」と気にする人もいるでしょう。特に、相手の宗教が何か把握していなかったときにはこのようなことが起こり得ます。

この場合、不祝儀袋のルールをきちんと守っていれば特に問題はありません。つまり、黒白もしくは双銀の結び切りを使っているものです。

差出人などの表書き

カトリックの場合は、「御ミサ料」という言い回しを使います。対して、プロテスタントの場合は「弔慰料」とします。

「キリスト教ということはわかっているけれど、プロテスタントかカトリックかまでは分からない」という場合は、「御花料」としましょう。これはプロテスタントでもカトリックでも使える言い回しです。

「キリスト教か神道か仏教かもわからない」という場合は、「御霊前」とするのが一般的です。一部の宗旨ではこの言い回しは使わないと言われていますが、そこまで細かく問われることはまずありません。「御霊前」とする場合は、黒白もしくは双銀の結び切りの水引をつけるとよいでしょう。

差出人の名前は、いずれも「御花代」「御霊前」などの下にフルネームで記します。これに関しては、どんな宗教でも一緒です。

御花料の費用相場

不祝儀袋に入れる場合の御花料の相場は、仏教の式と一緒です。
たとえば、友人関係ならば5000円~10000円などです。これは年齢や故人との関係性によっても異なってきます。

カトリックの葬儀での参列に関するマナー

カトリックの葬儀に参列する場合のマナーについて細かくみていきましょう。

ふさわしい身だしなみについて

カトリックの葬儀の場合の格好ですが、これは仏式のときとほとんど変わりません。通夜ならばダークスーツを、葬式・告別式の場合はブラックスーツを着用するとよいでしょう。男性の場合、靴下は黒色のものを選びます。ネクタイは、通夜の場合は地味な色もしくは黒のものを選びましょう。葬儀の場合は黒のものを選びます。

女性のストッキングは、原則として黒色を選びます。ただし、通夜ならば肌色でも問題ありません。化粧は薄くするのが一般的で、ラメの入ったものやチークは原則避けます。

男女ともに、靴とかばんは黒色のものを選びます。金具がついていないものが正式です。
真珠を使ったアクセサリー(ネックレスの場合は一連のみ)や結婚指輪は許容されますが、「つけなければいけない」というものではありません。不安ならば外しましょう。

ちなみに、カトリックの式ではしばしば「帽子」が用いられます。黒いレースやベールなどを使った真っ黒の帽子であり、多くの場合手袋とセットになります。カトリックの式の場合、この帽子や手袋をつけていてもバッドマナーとはされません(女性に限ります)。
もっともこれは、「遺族・親族のみの装い」であるため、参列者は用いない方がよいでしょう。

必要な持ち物について

キリスト教の葬儀の場合、プロテスタントでもカトリックでも数珠は使いません。これは仏式の道具だからです。ただ、キリスト教の葬儀に慣れているという人は決して多くはないので、持参する人も多く見られます。この場合は、「キリスト教の葬儀だ」とわかった時点で、かばんの中に片付けてしまえば問題ありません。

「キリスト教ということで、ロザリオを持って行かなければならないのか?」と思う人もいるでしょう。プロテスタントではロザリオは使いませんが、カトリックの場合はこれを利用します。

参列者自身がクリスチャン(特にカトリック)であり手元にロザリオがある、という場合は持って行けばよいでしょう。しかし「自分自身は仏教徒であるためロザリオは持っていない」という場合は、無理に買い求める必要はありません。

参列できずに弔電や供花を贈る場合

弔電や供花を受け付けている場合は、これをおくるのもよいものです。特に、「参列はできないけれど弔意を示したい」という事情があるならば、これが有用です。

弔電の場合は、仏教とはやはり少し違います。まず、「御冥福をお祈りします」は使えません。
このため、
「(故人)様が神の御許で安らかに過ごされるようにお祈りいたします」
「御生前に賜りました御恩に深く感謝いたします。主イエス様のもとで、(故人)様が永遠に憩われんことをお祈りします」
などのような文面を作るとよいでしょう。
なお、「昇天」はカトリックの言い回し、「召天」はプロテスタントの言い回しです。

供花を贈る場合は、まずは贈っていいかどうかの確認をします。葬儀会社が間に入っているのであれば、葬儀会社に問い合わせるのがよいでしょう。

キリスト教の場合、教会では供花を飾りません(プロテスタントの場合は生花を飾る、という考えもあります)。
このため、自宅に送ることになります。また、キリスト教の場合は、かごに入れたアレンジメントフラワーを贈るのが一般的です。白色系の生花が人気ですが、淡いピンクなどの花が採用されることもあります。

なお、仏教の式とは違い、供物は贈りません。

カトリックの法要「ミサ」について

カトリック(キリスト教)の場合は、法要として「ミサ」が行われます。葬儀の後に行われるミサは、一般的に「追悼ミサ」と呼ばれます。
亡くなってから3日目・7日目・30日目のタイミングで行われます。ただ、仏教の「初七日法要」が葬式・告別式の日に一緒に行われるように、カトリックの式でもこれを省略することが多くなっています。

年忌法要は、基本的には3年目・7年目・10年目のタイミングで行われます。ただこれも、明確に「この年に絶対にやらなければならない」という性格のものではありません。
招くのは、親族や友人などです。

カトリックの法要において特徴的なのは、11月2日に行われる追悼ミサです。これは「死者の祈念日」とされており、遺族が参加して行うものです。

まとめ

  • キリスト教は、大きく「プロテスタント」と「カトリック」に分けられます。死生観も葬儀の流れも異なり、用いられる単語も異なります。キリスト教では、「死ぬことは悲しみである」とはとらえませんので、弔電を送るときやご遺族にあいさつするときは言葉遣いに気をつけたいものです。
  • カトリックでの葬儀の場合、装いは仏式のときとほぼ同じです。ただし、数珠は用いません。また、不祝儀袋には「御ミサ料」もしくは「御花代」とします。「御霊前」と書いて、結び切りの水引(黒白もしくは双銀)をつけたものも、失礼には当たりません。
  • カトリックの葬儀が終わった後には、法要(追悼)ミサがあります。3日目・7日目・30日目に行われるのが原則ですが、現在は7日目までのものは省略されることもあります。
    ちなみに、カトリックでは11月2日に「死者の祈念日」という特別なミサをします。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

カトリックは特に儀式を重んじます。
その中でも「ミサ」と呼ばれる儀式は「パンとブドウ酒」という「聖体」をいただく儀式として定義され、葬儀の際には葬儀ミサが行われます。

基本的には教会で行われるため、作法等を周知している教会から紹介された葬儀社に依頼するように指示されることが多いでしょう。
しかしすでに互助会に入会しているなど、やむをえない事情で教会指定以外の葬儀社に依頼せざるをえない事情の場合、十分に打ち合わせをして臨む必要があります。

カトリックに限らず、キリスト教の場合、家族で一人だけ、故人が信者・信徒だったというケースがあるのですが、この場合はどうしたら良いでしょう。
それぞれの家庭や信仰の事情によって異なり、最良の方法を模索していくことになりますが、葬儀は故人の宗教で行い、お墓は家族・ご先祖と共に入るというケースがよく見られます。
教会保有の合同墓に故人だけ納めるとうケースもあります。

なお、カトリックでは、焼香が行わえることもあります。1回または3回、香をつまんで香炉に落として焚き、手を合わせて黙祷します。


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