住職なのにブロガーでアスリート!肩書が豊富な【へんもさん】をご紹介
みなさんは「住職」にどんなイメージをお持ちですか。
お通夜や葬式、法事の場で念仏を唱え、死者やご先祖様の供養をする人という印象をお持ちの方が多いとおもいます。
今回取り上げる真宗興正派善照寺第21代目住職の「へんもさん」こと三原貴嗣氏は、そんな住職としての仕事に加え、パフォーマーやブロガーなどさまざまな肩書を持つお坊さんとして精力的に活動しています。そんな三原さんの活動や仏教への思いをたっぷりと紹介します。
「へんもさん」こと三原貴嗣氏のプロフィール
住職でありながら、パフォーマーやブロガーとしても活躍する三原さん。ここでは多様な肩書を持つ三原さんのプロフィールをわかりやすくまとめました。
三原さんが住職を務める善照寺とは
真宗興正派善照寺は、香川県丸亀市に位置する浄土真宗のお寺です。
永代経や報恩講などの年4回の行事に加え、サーカスと法要を合わせたイベント「おつとめ」や、音楽のコンサート、ブログやWEBメディアの勉強会、地域の若手の頑張っている人たちが交流できる異業種交流会なども行っています。
また、こどもたちの習字教室や英会話教室なども行っています。
住職以外の肩書について
住職以外に三原さんが展開している主な活動は、
- フットバッグプレイヤー&パフォーマー
- へんもぶろぐの運営
- へんもらじおの運営
- 布教使.comの運営
の4つと、多種多様な取り組みを精力的に行われています。それぞれ詳細を紹介していきます。
フットバッグプレイヤー&パフォーマー
フットバッグとは足でお手玉を操って、さまざまな技を見せてその美しさを競い合うスポーツです。
三原さんは2015年この競技で全日本選手権3種目優勝、通算7回もの日本一を達成しています。現在は後進の育成も行っていて、ブログではフットバッグのコツや技の解説をしています。
また、現在副住職でもあり大道芸人でもある弟の俊亮さんと一緒に善照寺を運営するかたわら、善照寺ブラザーズとして各種イベントにもパフォーマーとして出演しています。
へんもぶろぐの運営
2015年に開始した『へんもぶろぐ』では「パフォーマーでブロガーのお坊さん へんもが伝えたいこと」をキャッチフレーズに、ライフハックや体のケア、健康、フットバッグなど、さまざまなテーマの記事を投稿しています。
へんもらじおの運営
三原さんはスタンドエフエムの「へんもらじお」で仏教のことも含め、生活に役立つ情報やモノの見方など、さまざまなテーマのトークをほぼ毎日配信しています。
幅広い活動をされていて、それぞれで数々の実績を残されている三原さん。
それではラジオやブログの名称にもついている「へんも」という名前の由来は、どこからきたのでしょう。
『へんも』という名前の由来
三原さんがなぜ『へんも』と呼ばれているのか、気になる人も多いでしょう。その由来は三原さんの高校時代まで遡ります。
当時バレー部だった三原さんは先輩から「(先輩の友達の)辺見さんに似てる。『へんみ』って呼んだらややこしいから、(三原さんは)『へんも』にする!」と言われてしまったのだとか。
それをきっかけに、このあだ名が広く使われるようになりました。最初は「変なあだ名」と思っていた三原さんも、今では人とかぶることがなく、すっかり気に入っているそうです。
次の章では、そんな三原さんが今年立ち上げた新しいWEBサイト『布教使.com』を紹介します。
『布教使.com(ふきょうしどっとこむ)』について
2020年7月1日に三原さんが新しく立ち上げた『布教使.com(ふきょうしどっとこむ)』は、ご法話のできるお坊さん達を地域と宗派に合わせて検索できるサイトです。僧侶のプロフィール紹介だけではなく、登録している僧侶のみなさんがコラムも寄稿しています。
サイトのイメージキャラクターである『たもんくん』が、地域と宗派に合わせたお坊さんを紹介してくれるポップなビジュアルです。
『布教使.com』は布教使を招きたいお寺だけでなく、従業員や生徒への講演会やセミナーを企画している企業や組織、学校関係者におすすめです。また、サイトでは法話・講演のできる僧侶の登録も受け付けていますよ。
多才で、住職以外にもさまざまな分野で活躍している三原さん。どのような方で、どのような思いを持って日々活動されているのか気になるところですね。
今回、三原さんにインタビューを行い、住職になったきっかけや今後の展望について伺ってみました。三原さんの魅力が伝わる内容になっています。
『へんもさん』こと住職・三原貴嗣氏にインタビュー
三原さんは24歳で住職になったと聞きました。とてもお若いなと印象を受けたのですが、お寺を継いだときのことを教えてください。
三原さん:大学卒業後は会社勤めをしていたのですが、ちょうど1年働いたころに先代住職である祖父の体調が悪くなったことをきっかけに会社を退職してお寺を継ぐ準備に入りました。退職して4ヶ月ほどで祖父が病気で亡くなってしまったので、引き継ぎも十分でなく、最初はかなり大変でした。
当時、得度(僧侶になること)はしていましたが住職資格はまだ持っていませんでしたし、知識も引き継ぎ情報もほぼないまま、寺院の運営(実務)をすべて自分が行わなければなりませんでした。
そのように実務としてお寺の仕事をしながら本山主催の通信教育で勉強をして住職資格の取得をめざしました。その後2年間の課程を修了して26歳の時に正式に住職になりました。
最初の3年半は私一人で運営していたので毎日必死でしたが、弟が入って共同運営するようになったことでかなり負担が減りました。
余力ができたことでお寺でもいろんな活動をできるようになりましたね。
今は弟さんと一緒に運営されているのですね。その弟さんとは法務以外でも一緒にイベントのステージにでたりされているのですね。
三原さん:はい、善照寺ブラザーズという名前でパフォーマーとしても活動しています。
法事や葬儀も2人で参らせていただきますし、お祭りやイベントにも2人で出演したりもしますね。
三原さんはブログや音声メディアでも発信されたりしていますよね。とても精力的に活動されているようですが、活動へのモチベーションはどこからきているのでしょうか。
三原さん:たとえばお寺の住職などの肩書なしで世の中に放り出されたとして、果たして社会の役に立てる人間なのだろうか?ということが常に問いとして頭の中にあります。
人や社会の役に立てる人間であるよう、自分の力をつけていくことが大切ではないかと考えているのです。
受け継いだお寺の名前が持っている影響力だけでなく、自分自身の力でも世の中に価値を提供したいなと思っています。
発信内容は仏教に限らず好きなことをいろいろと発信していますが、「自分が楽しく生活している姿のベースには浄土真宗の教えがあるんだよ」ということを知ってもらえたら良いですし。
僧侶として元気そうな姿をSNSやブログで見せることで、浄土真宗に興味を持ってもらえたらとてもうれしいです。
その情報を発信する手段のひとつとしてブログがあるのですね。2015年から投稿されていると伺いましたが、始めたきっかけを教えてください。
三原さん:住職になる前からブログなど、Webでの発信は何回かトライしていましたが、イマイチうまくできてはいませんでした。
改めてブログへ真剣に取り組もうと決めたのは、知人であり人気ブロガーのヨスさんからのお誘いがきっかけです。(運営ブログ:ヨッセンス)
ブログの投稿は情報の発信だけではなく、うまくいけば収益化につながると聞き、「今後の寺院運営の新しい収益源になれたら」と考えたのもブログを始めた理由のひとつですね。
ヨスさんからもアドバイスを受けて、これまでで最大月間17万PVを達成できました。やっぱり身近に成功者がいるのは目標までの道のりが実感しやすく、大きなサポートをしていただいているなと思います。
今もブログやSNSが仏教の教えについて触れるきっかけになればと願って、日々情報発信をしています。今後はたとえ収益性が下がったとしても、運営していけるようなサイト作りを考えていきたいです。
現状に満足することなく、常に新しいことを考えていらっしゃるのですね。この7月には新しい取り組みとして『布教使.com』をオープンしていますが、こちらに対する思いを教えていただけますか。
三原さん:2020年の新型コロナウイルス感染拡大で法要が中止となり、布教依頼が少なくなっているという布教使さんのつぶやきをTwitterで見たことが始まりです。
そのつぶやきを見たことで普段お世話になっていたり、仕事が危機にあったりする布教使さんを少しでも力になれたらという思いから『布教使.com』の立ち上げに至りました。サイト構造や必要なページのアイデアを一気に思いついたので、サイトの大枠は3日間ほどで作成できました。
かなりの短期間で完成されたのですね。近年寺院離れも叫ばれていますが、それも布教使.comが登場したことで少しずつ変わっていくといいですね。
三原さん:宗派によって、また同じ宗派でも考えの違いは存在するので、どうしても布教使さんはブログやSNSでご自身の考えを書くことを敬遠している方も多い印象がありますね。
ですから、布教使さんに関する情報はネット上では集めにくいのが現状です。
法要などで布教使さんを呼ぶときにも自分の知ってる方しかお声がけすることが難しい上、参詣者に紹介するための公式プロフィール情報もなかなか手に入りません。
そこで、写真やプロフィールが充実していて、自分に合う人を見つけられるカタログのようなサイトがあれば役に立つものになるのではないかと考えました。
美大出身の女性僧侶にお願いしてキャラクター「たもんくん」を描いてもらったことで堅苦しくならずに、見やすいサイトができたと感じています。
最後にライフドットの読者だけではなく、インターネットで仏教・法要に関する情報を集める人たちに向けてメッセージをお願いいたします。
三原さん:若いときは仏教に興味がなくても、歳を重ねて周りの大切な方が亡くなったり、健康状態が悪くなったりすると、生への意味を求めて仏教に興味を持つ方もおられます。
しかし、いきなり仏教やお寺と縁を持ちたいと思っても、敷居が高いイメージがありますよね。その敷居は高いことに意味があると思いますが、入りやすいよう緩やかに登れるスロープも必要だと私は考えています。私のブログや布教使.comがそのスロープ役になれたら幸いです。
仏教関連の情報は宗派によって違いがありますので、ご自身の宗旨とあった情報なのかを確認するようにしましょう。記事やサイトを見るときには「誰が書いているのか」「誰が運営しているのか」を確認して情報を集めることをおすすめします。
また、SNSで発信している僧侶もたくさんおられますし、気軽に質問できる僧侶とご縁をもって交流を増やしていくと仏教への知見がより深まるのではないでしょうか。
三原さん、今回は貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました!
関連情報
三原さんに関連する情報をまとめています。
善照寺HP | https://zensho-ji.or.jp/ |
善照寺住所 | 香川県丸亀市柞原町596 |
へんもブログ | https://henmo.net/ |
布教使.com | https://fukyo-shi.com/ |
Twitterアカウント | https://twitter.com/henmority |
編集後記
住職というと、物静かで落ち着いているイメージが私のなかでも強くありましたが、三原さんはとてもアクティブで、新しいお坊さん像を作り出してくれました。その一方で仏教に対する熱い思いも感じられて、大変印象に残るインタビューになりました。
ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。